FASで働くメリットとは?新卒で感じた良い点と悪い点【コンサルへの最短距離】

FASの実態など、日常

FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)で働くことを新卒の就活段階でイメージするのは難しいですよね。私も入社するまでは全く想像することができませんでした。

実際にFASで働き始めてみると「良い点」と「悪い点」がみえてきます。今回は、それらをリアルな体験を踏まえながらお伝えしていきたいと思います。

先に言っておくと、FASは非常にしんどい部分も多いですが、それを踏まえても新卒でFASに入社して良かったと感じています。皆さんも、新卒でFASを目指すことを検討する価値が十二分にあると思います!


FASの悪い点

先に悪い部分からお伝えしていきます。大きくは下の3つです。

  1. 激務
  2. スキルは身につくが、思ったほど専門性が身につかない
  3. 日々、かなりのストレスを感じる

悪い点①:激務

結局これに尽きます。

実際に働いたことがあるのがFASだけなので、他は自分の肌感になりますが、FASの忙しさは戦略コンサルや外資系投資銀行よりはマシだが、総合コンサルなどの普通のコンサルよりは遥かに忙しい、という印象です。

忙しさのイメージとしては、
戦略コンサル・外資系投資銀行 > FAS >> 総合コンサル
といった感じです。

案件や部署によって忙しさは変わりますが、私が働くFASの戦略部門では、日常的に22時を過ぎるのは当然といった雰囲気があります。そこからさらに最終報告などが近づくと0時を過ぎることもしばしばあります。そして、不幸にも案件が炎上すると、徹夜や週末の業務が発生することも少なくありません

さらに、これはあくまで新卒で入社したばかりの自分が感じていることであり、職階が上がればさらに忙しくなります。この間一緒に働いた先輩は1ヶ月間休みが全く取れなかったと話していました。これを聞いた時は本当に衝撃を受けましたし、一瞬転職が頭をよぎりました。

ただし、近年は働き方改革が進んでおり、労働環境は改善されてきています。たまーに19時に業務を終えることができる日もありますし、週末の勤務は基本的にNGで、あくまでも最後の手段として扱われています。また、在宅勤務も許可されるケースがほとんどで、有給も基本的には申請すれば問題なく通ります。

とはいえ、激務であることに変わりはないので、この点はしっかり覚悟しておく必要があります。今後も改善が進む可能性はありますが、現時点ではやはり「忙しい」「激務」というのがFASの現実です。


悪い点②:スキルは身につくが、専門性は身につきにくい

これはFASだけでなく、コンサルティング業界全体に言えることですが、入社前に思っていたほど専門性は身に付きにくい印象です。FASやコンサルでは、特に新卒で入ると様々な業界のプロジェクトに関わることになります。そのため、業界にとらわれない広く浅いスキルは身につくものの、特定の分野での専門性を磨くのは難しいと感じます。

例えば、FASの戦略部門では、毎回異なる業界の企業に関してリサーチを行い、買収後の成長性評価や戦略の方向性を検討するため、明確な「専門家」としてのスキルを身につけるというよりは、幅広いスキルを取得していくという印象です。

私自身もこの点で悩んだことがあります。特に、転職を考え、具体的に「何ができるのか?」と考えると、答えづらく感じます。結局、FASで身につけたスキルは「幅広く何でも対応できる」という類のものであり、具体的に「これができる!」といいやすいものは身に付きにくい傾向にあります。

この点を踏まえると、FASに入った場合、転職先としては同業他社や事業会社の経営企画部、総合商社などへの道が一般的です。実際に、私の先輩も総合商社へ転職しました。FASで得られるスキルは確かに役立ちますが、「どこでも転職できる」というわけではないので、この点は事前に理解しておく必要があります。

とは言っても、FASは他のコンサルに比べれば遥かに良い方で、FA部門やバリュエーション部門に行けばM&Aに関しての深い専門性が身につきます。そうでなくても、M&Aや事業再生などを軸に、それなりの専門性は身につくと思います。少し矛盾するような形になっていて申し訳ないのですが、ここは少し感覚的なところもあるので、自分の体感していることとして受け取ってください。


悪い点③:日々、かなりのストレスを感じる

FASは高い給料や成長機会を提供してくれますが、それと引き換えに日々の業務は非常にストレスフルです。一般企業で働く友人たちと比較すると、彼らは比較的穏やかな生活を送っているように見え、羨ましく感じることも多々あります。

ストレスフルになる原因は、FASの案件が企業の重要な意思決定に関わるため、常に高いプレッシャーが伴うことです。例えばM&A関連の案件は、M&Aが企業の将来を左右する大きな意思決定であるため、その過程で求められる情報やその解釈の正確さや迅速さは非常に高くなります。そのため、上司からのファクトチェックなどが新卒のうちは非常に厳しくなり、慣れていないと嫌になってしまうかもしれません。実際、上司に細かくファクトチェックを求められ、スライドの作り込みを厳しく指導されることで、長めの休暇を取ってしまう同期などもいました。

成長のために必要な過程ではありますが、日々の業務が非常にストレスフルであることは間違いありません。

FASの良い点

続いて、FASの良い点についても触れていきます。大きいものは以下の3つかと思っています。

  1. 給料が高い
  2. 問題解決力が身につく
  3. 将来への安心感がある

良い点①:給料が高い

FASは激務である一方、その見返りとして給料が高いです。最近では新卒でも700万~800万円ほどの年収を得られるファームもあるとか。就活サイトや新卒募集のサイトへ行けば具体的な金額が見れるので確認してみると良いかと思います。なお、水準としては同世代の友人たちと比べてもかなり高い水準で、生活にかなり余裕があります。

私の場合は特に節約志向が強いので、そのまま参考にしない方がよいとは思いますが、自分は貯金をしっかりしながら、都内で快適なアパートに住み、週に1~2回は飲みに行ったり、月に1回は旅行を楽しんだりしています。貯金を気にしなければさらに自由な生活を楽しむことができると思います。

似たところの水準と比較すると戦略コンサルや外資系投資銀行ほどの高収入ではありませんが、総合コンサルよりもやや高い水準という印象で、忙しさと相関関係があるようなイメージを持ってもらえれば良いと思います。

忙しさとのバランスを考えると、FASは「戦略コンサルや投資銀行ほど激務すぎず、でも給料はかなり高い」という点で、非常にバランスの取れた職場だと感じています。


良い点②:問題解決力が身につく

FASでは様々な経験ができます。M&Aは毎回高い難易度でありながら、毎回違うような無理難題を課せられます。上で少し話したように、専門性は身に付きづらいですが、その代わり大抵のことはなんとかできるようになります。これが自分の思う、FASで得られる成長です。

大抵のことがなんとかできるようになるというのは、これからの時代非常に重要になると個人的には考えています(だからFASにいるわけなのですが)。今はVUCAの時代と言われるように、数年後の未来がどうなっているのかは誰にも完全に予測するのは不可能と言われています。そのような世の中では(コンサルを含め)将来どのような職業がなくなるかもわからなくなります。

そんな中でも、初見の課題もなんとかできる、という感覚を持つことができていれば、たとえ職を失うことがあっても次の仕事を見つけ、なんとかしていくことができるようになると自分は考えています。

専門性は確かに大事ですが、将来その専門性を磨いた分野がなくなってしまうと完全にとは言いませんが、使えないものになってしまいます(いわゆるハードスキル)。一方、FASの業務を通じて身につく大抵のことをなんとかできる力(問題解決力)は、どの分野でも応用が効きます(いわゆるソフトスキル)。

将来が見えない時代だからこそ、何が起きても対応ができるような問題解決力を身に着けられるFASに行くのは賢明な選択だと思います。ただし、漫然と業務をこなせば身につくようなものでもないので、入社後も自ら学んでいくことが大切になりますので、その点はご注意ください!


良い点③:将来への安心感がある

これは上の2つの結果、という話にもなるのですが、お金と問題解決能力を手に入れられれば、正直将来食うのには困らないと思っています。

自分の場合、しっかりと貯金ができていて、一部はしっかりと運用に回しているので今の仕事をやめて多少給料が下がっても、将来金銭的に困ることはまあないかなと思っています。現段階でそれなりの金額を稼げているというのは運用という観点では非常に大きなメリットになります。運用は時間が長ければ長いほど成果が出しやすいもの(インデックス投資の場合)なので、早い段階で稼ぐのが肝心になります。

その観点では若いうちから十分すぎる金額をもらえることで将来への安心感がかなりあります。

さらに、繰り返しになりますが問題解決力は将来の読めないいまの時代では非常に大きな安心感を与えてくれます。自分はまだまだこれから身に着けて行かないといけないスキルではありますが、FASでこのまま仕事を続けられれば近いうちにある程度のものが身につくと感じています。

問題解決力があれば、将来仕事を失うことは全くないとは言いませんが確率をかなり下げることができます。このことが与えてくれる安心感もまた大きいです。

以上のように、運用による収益、仕事による収益を将来にわたって約束してくれるのがFASで働くことのメリットの一つだと思います。これらが約束されることの安心感はとてつもなく大きいので、皆さんもぜひFASに入社して、体験してもらいたいです笑


結論

以上のように、FASは激務であったり、思ったよりも専門性が身につかないという問題点はありますが、それを補って余りある、金銭的・能力的メリットがあります。

私は新卒でFASに入社して本当に良かったと感じています(今のところ笑)。皆さんも、ぜひFASを目指して、就活を頑張っていきましょう!!

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